■前回は「アクションラーニング」がどんなものであるか、コーチングやOJT、従来型の会議との違い、またアクションラーニングのセッション(ミーティング)での中心である「質問」の効用について述べました。
※第1回は→http://interfacenews.seesaa.net/article/44218456.html
この第2回は、さらに「ふり返り(リフレクション)」とアクションラーニングの効能(効果・メリット)について述べます。
■アクションラーニング(以下AL)では、第1回で述べたように「質問」から始めるミーティングを行います。もう一つ、質問で問題を明確にしたり、目標を設定したりする問題解決の進行の途中で時々「ふり返り(リフレクション)」をします。
●「ふり返り」とは、アクションラーニングコーチ(以下ALコーチ)が、ミーティングの途中で、「ちょっとここでふり返りをしましょう」と介入し、「今グループの雰囲気はどんな感じですか?」「質問は自由にできていますか?」などと、話し合っている問題解決の中身
ではなく、話合いの状況・プロセスを見直してみることです。
●「ふり返り」の効用は、@話が行き詰っている時に、一息入れて再開後は新たな進展を見せる、Aあまり質問していない人にも質問をするキッカケを与える、B片寄った話合いから、様々な視点で展開させる、C今何が目的(又は本質)なのか?など内容面についても見直しをさせる、D参加メンバーへ意識を向けてお互いの関係を深める、など
があります。
●「ふり返り」は日常の会議やミーティングではあまりやらないことでしょう。以前ならば会議の後の一杯(飲みにケーション)で、「いやあ、今日の会議は厳しかったなあ、確かに部長の言う事はそのとおりだ!」とか「しかし、あそこまで言うか!って感じですよね」
「○○君、元気がないようで気になったが、どうした?」とかやったかもしれません。これは一種の「ふり返り」といえます。この飲みにケーションで人間関係が出来てきたともいえます。昨今はそれも減っているようです。
●ALでの「ふり返り」の元の言葉「リフレクション」は、単にその場でミーティングの状況をふり返るということだけではなく、「内省」「省察」というように気になったことを深く考え直してみる、本質的な意味を問い直す、自分について深くふり返る、というような意味を
含めた言葉です。そこに新しい発見や創造を見出すこともあります。
■この「質問」と「ふり返り」を中心として、現実問題に取り組み、具体的な行動計画をALコーチのサポートの元で、学習(問題解決だけではなく、そのプロセスを通した学び、気づき)を意識したグループセッションを行うことで、ALには次のような効能があります。
●現実の問題解決に役立ち、成果を出します。
参加者が実際の業務で直面している問題の解決や経営の重要課題の解決に取り組みます。複雑でどのように解決していくがすぐ見えない問題こそALに適した問題です。
解答がない問題の本質的な解決を推進します。
●職場会議やミーティングに活用できます。
「質問合意ミーティング」という進め方で、実際に企業内で活用できます。また社内ALコーチを育成することで、ALセッションを展開することもできます。
●職場内のコミュニケーションが活発になります。
職場の課題についての共通認識や状況の理解が深まり、様々な情報や目的などの共有化が進みます。進むべき課題解決の方向性を明確にし、またそれに貢献する実感を持つことで円滑なコミュニケーション、何でもいえる雰囲気、職場チームの団結力を高めます。
●個人的な能力、リーダーシップが高まります。
ALミーティングでは「ふり返り」を行うことで、問題や自分自身、職場についてなどの様々な気づきや学びを促進します。特に物事を俯瞰する力や多角度的にモノを見る力が養われます。またALコーチの体験を積むことで「チームを育成する力」と言う新しいリーダーシップも養成されます。
他にもALの効能はあります。そもそもALをどのような目的で活用展開するかというプログラムの作成により、その会社や組織の固有の重要課題の解決を促進することができます。
※次回『コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(3)』に続く
ラベル:コーチング アクションラーニング