2021年11月24日
『人材採用から育成・評価迄一貫して考える』
前回(10月4日)『3つの視点から考える2、人事評価制度は人材育成制度!』でした。
今回のテーマは、『人材採用から育成・評価迄一貫して考える』(特に中途採用者)です。
今年度は、「人事評価研修」が例年以上に多く、また「人事評価コンサルティング」を3件進めています(内2件はオンラインでのサポートです)。
そしてこの10月、11月に3回のオンラインで「採用基準と採用方法作成ワークショップ」を進行中です。
今回は、人事評価項目(評価基準)の枠組みを活用した「採用基準」の作成方法(そのエッセンス)の紹介です。
私の人事制度作成コンサルティングはコンサルタント主導で作成するのではなく、その企業の実際の業務内容に詳しい経営幹部・管理監督者を参加メンバーにしたワークショップ方式で進めて行きます。
これは、人事評価を評価時点での評価、処遇(昇進・昇格・昇給・賞与)のためだけの評価ではなく、「人材育成といい仕事ができる」ための評価と考えているからです。
その上で適切に評価した結果を人事処遇にも反映させるのです。
人事評価基準は、各職種(又は部署)ごとに「成果」「重要業務(その実践と習得度合)」「能力」「態度」の4区分で各々評価要素を3つ〜7つの数で構成し、さらにその各要素で最低でも3〜7項目程度の評価の具体的内容項目を作成します。
各4区分の定義は(簡略して述べます)、以下の通りです。
「成果」:担当する職務及び役割において求められる業績、成果(経営・事業としての業績指標)。定量的成果(数値化・指標化できるもの)と定性的成果(仕事の質や効果性の向上、等)に分けられます。
「重要業務」:「成果」を上げるために重要な業務の内容を具体的に作成します。成果に直結する業務ノウハウや実際にその業務が高いレベルで遂行できている内容です。
「能力」:@「成果」を上げるために、A「重要業務」をこなすために必要な「知識・スキル(技能)」の内容です。
「態度」:「成果」を上げることにつながる、仕事への取り組み姿勢や意欲の面での行動傾向・特徴。
以上をワークショップに参加する幹部・管理監督職が自らの経験や成果を出している人とそうでない人との違い(行動内容や特性)から作成していきます。
以上の人事評価の4つの枠組みを基して、現在進行中の「採用基準と採用方法作成ワークショップ」では、中途採用者の選考基準を以下の4区分で作成します。
「重要業務経験」(応募者・候補者の業務経験):採用する職種(業務)に直結するこれまでの業務経験、また類似する業務経験です。
「能力」:@採用する職種で「成果」を上げるために、Aその職種の「重要業務」をこなすために必要な「知識・スキル(技能)」の内容です。
「態度」:「成果」を上げることにつながる、仕事への取り組み姿勢や意欲の面での行動傾向・特徴のことです。
「志向(価値観)」:担当職務の「いい仕事」の内容に適合する、本人が持っている仕事への方向性、価値観です。
採用段階でその職種で成果を上げている人と同じような「能力」、「態度」、そして自社で活躍する人となるための、業界や組織風土における仕事の進め方や今後の方向性と合致する「志向(価値観)」を持っているかどうかを評価するのです。
多くの幹部管理者が持つ不満の一つが、実際の業務と結びついていない内容の人事評価項目、採用した人が現実の職務に適合した人材ではない、等です。
それは、人事評価の場合には、理論的また理屈だけで作成していて組織の実状とマッチしてないこと、人材採用では、採用選考をして決定する人(多くの場合、人事担当者や決定権者の社長、幹部等が、採用する職種、業務を必ずしも熟知していない人、又は本人の経験や価値基準でのみ採る人)の基準が実際に採用して活躍できる人材基準とマッチしていないことです。
実際に人事評価をし、育成をする人、採用した人を活用するのは管理監督者なのです。
その声(経験、知見)を活かさない手はないのです。
自社で実際にマネジメントをする人(各部門・各職種のエキスパートであり、実際に育成をしている人)が参画して人事評価基準、採用基準を作ることの意味と重要性を理解していただけましたでしょうか。
※そのマネジメントをする人(管理監督者)の評価育成基準は、社長以下役員、幹部が作成するのです。
もちろん、コンサルタントの立場で、幹部管理者の方々の経験値や実感値を言語化するサポートをしたり、実際の能力をデータ分析したりするサポートや客観的な視点を持つ人事総務のスタッフとの共同作業として進めて行きます。
このようにしてつくられた「人材採用基準・項目/採用方法」そして「人事評価(育成)基準・項目」は、会社の求める人材像を具現化するものとなります。
このような「人材採用」「人事評価」と連動したOJT(職場内指導育成)そしてOffJT(テーマ別集合研修)は、バラバラの思いつきの研修から、社員自身も目指すステップが明確な中長期的人材育成へと展開することが出来るのです。
【最後にお知らせ】
私(潟Cンタフェース代表 五十嵐仁)の著書
「リーダー必須の職場コミュニケーション61のスキル」(セルバ出版)、2018年4月に発売され、お陰様で一昨年1月末に増刷、昨年1月10日に第三刷、そして今年2月1日で第四刷となりました。全国大手書店、アマゾン他のネット書店で販売しております。
購入(左クリックする)前に、こちら「リーダー必須の職場コミュニケーション61のスキルの読み方」をご覧の上、ぜひリーダーとしての「いい仕事」をするためのコミュニケーションのヒントを手にしていただければ嬉しいです。
2021年10月04日
『3つの視点から考える2、人事評価制度は人材育成制度!』
前回(9月2日)『何のために人材育成をするのか?〜3つの視点から考える』が、「人材育成を3つの視点から考える」の1として、
今回のテーマは、『3つの視点から考える2、人事評価制度は人材育成制度!』です。
今年になって多く担当(実施)している研修の一つが
「人事評価(者)研修」(「被評価者研修」も担当しました)。
皆さんは、「人事評価」は、何のために、何を目的としてやっていると思いますか?
研修でこの質問をすると、様々な答えが返ってきます。
○公正に評価されることで仕事のやりがい、やる気の向上
○各人の与えられた仕事に対する成果を正しく評価し、
報酬、等級に反映させるため
○各人の能力を評価し、人材の育成を図ると共に適切な
仕事を提供するため
○仕事内容の結果を総合的に判断するもので結果や改善点・
評価を点数化するために。
どれも人事評価の目的といえないことはないでしょう。
私どもの人事評価研修では、次のようにお伝えしています。
人事評価は一言で言うと
「いい仕事をするために、一定期間の仕事の状況を振り返り、次の仕事へ活かしていくため」にするのです。
この目的が実現する人事評価では、その評価の基準(評価区分・要素、評価項目の具体的内容)は、次のようになります。
実際に各社員がしている仕事の「いい仕事といえる『成果』、いい仕事をするために必要『能力』、いい仕事となるための『態度(取組姿勢、行動習慣)』という3つの区分。
『成果』『能力』『態度』の各区分での評価要素は、それぞれ実際の成果の指標(個別の具体的な目標)や必要な発揮能力と保有能力、適切な行動内容となります。
そして、このような評価要素の中身(具体的な指標や行動内容)は、現実の各職種・業務に密着した内容であることが必要です。
かっての査定とか人事考課と言う名前の「学校の通知表、成績表」のようなものでは機能しないのです。
ということで、私どもでは、それをよく知っている全社各部門の幹部・管理者の方々が集まって継続的(最低3回〜6回程度)のワークショップでこの人事評価の基準(区分・評価要素・評価項目)を作成をサポートしています。
以前からまた最近も、いわゆる人事考課・人事評価の専門家・コンサルタントが様々な理論から作るコンサルティングを行っています。
もちろん中には、しっかりとした考え方のモノもあります。
私どもは、「いい仕事」は現場で実際に仕事をし、その仕事のマネジメントをしている幹部・管理者(時には社員も)が参画して、自分たちの「いい仕事」とは何かを考え、お互いの知恵と経験を出し合って、評価のためだけの基準ではなく、いい仕事のための基準を明確にすることが第一と考えます。
そして、それは評価項目であり、育成項目であるのです。
皆さんの会社の「人事評価制度」は、いい仕事をするための評価、そしていい仕事をする人材育成のための仕組みとなっていますか?
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2021年09月02日
『何のために人材育成をするのか?〜3つの視点から考える』
今回のテーマは、
『何のために人材育成をするのか?〜3つの視点から考える』です。
皆さんの会社は、
「何のために社員研修等の人材育成に取り組んでいるのですか?」(人材育成の目的を問う質問)
そして
「その目的の具体的なゴール目指して、どの位進んでいますか?何が進みましたか?」(目標の達成度や成果を問う質問)
この2つの質問の答えが明確ですか?
人材育成を全くしていない、という会社はない、と私は思っています。
会社に新しく入ったら仕事を教える=人材育成なのですから。
しかし、ただ担当している仕事を覚えてもらうだけではなく、「いい仕事をする人」になってもらう、また会社という組織自体がさらに発展するためには、さらに「いい仕事ができる組織・職場」になることが必要となります。
それでは、「いい仕事ができる人」、「いい仕事ができる組織・職場づくり」のための人材育成(組織開発も含めて)に取り組むとします。
その「いい仕事」「いい仕事ができる組織・職場」とは何か、その目指す姿やそれが出来ているかどうかのモノサシをハッキリと持っていますか?というのが今回のお話です。
私は人材育成の目的は、
人材育成の目的は、「自社にとって『いい仕事ができる人と組織をつくる』ためにすること」、と考えます。
この”自社にとって”というところが一番のキーポイントです。
それが実現できる人材育成(と組織開発)なるためには、次の3つの視点から考えることが大切です。
1つめは、企業理念、経営ビジョンの視点
2つめは、いい仕事とマネジメントの基準の視点
3つめは、組織の課題解決の視点 です。
1つめの「企業理念」は、会社によっては経営理念、社是・社訓として表現されています。
さらに「経営ビジョン」は、会社が目指す将来の姿又は長期的な目的・目標等具体的な姿のことです。
「企業理念」は抽象的な表現となっていることが多いのですが、社員が仕事の中で具体的な行動として活かして初めて意味のあるものになります。
それを実践できる社員として「目指す人材像」を明確化することが必要です。
そのために「行動指針」(又はクレド『信条』)として10〜15項目程度で社員が実行にすぐ移せる具体的な行動内容として作成することも効果的です。
2つめの「いい仕事とマネジメントの基準」づくりには、まず現状把握することから始めます。
現在やっている仕事内容、役割分担、仕事の進め方等の現状を文書や図示で客観的に見える形にして整理し、把握し、そこから共通の基準をつくります。
実は、これらは人事制度の「職能要件書」「職能等級基準」等のことであり、これらが実際行っている内容を十分に把握したものであれば、参考資料の一つです。
属人的、経験的な業務の進め方を組織的役割に修正し共有化することです。そのために自社のいい仕事の育成評価項目を明確にするのです。
その基準が「人事評価項目」に反映されて、単なる処遇のための評価ではなく、社員各人の能力向上、意欲向上につながる仕組みになっていることが、いい仕事ができる人材育成につながる大きなポイントです。
3つめの「組織の課題解決」とは、人材や人間関係、組織風土に関して今後解決したい課題を明確にして会社として解決に取り組むことです。
組織診断・サーベイを実施して検討することも有効な方法の一つです。
この視点では、中長期的視点と短期の視点の両面で人材・組織の課題解決に役立つ人材育成を作成する基本的な考え方を確立するためにも重要です。
具体的には、「中長期で会社の求める人材能力の確保」、「社員の定着の問題」、「業務分担の偏り」、「社員の意欲低下」、「ハラスメント」等の本質を把握した課題解決に取り組むことです。
キーワードは、
“目指す人材像”、”育成評価項目”、”組織の課題解決”
の3つです。
今後は、この3つの視点と3つのキーワードで、人材育成の取り組みをさらに具体的に考えていきます。
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皆さんの会社は、
「何のために社員研修等の人材育成に取り組んでいるのですか?」(人材育成の目的を問う質問)
そして
「その目的の具体的なゴール目指して、どの位進んでいますか?何が進みましたか?」(目標の達成度や成果を問う質問)
この2つの質問の答えが明確ですか?
人材育成を全くしていない、という会社はない、と私は思っています。
会社に新しく入ったら仕事を教える=人材育成なのですから。
しかし、ただ担当している仕事を覚えてもらうだけではなく、「いい仕事をする人」になってもらう、また会社という組織自体がさらに発展するためには、さらに「いい仕事ができる組織・職場」になることが必要となります。
それでは、「いい仕事ができる人」、「いい仕事ができる組織・職場づくり」のための人材育成(組織開発も含めて)に取り組むとします。
その「いい仕事」「いい仕事ができる組織・職場」とは何か、その目指す姿やそれが出来ているかどうかのモノサシをハッキリと持っていますか?というのが今回のお話です。
私は人材育成の目的は、
人材育成の目的は、「自社にとって『いい仕事ができる人と組織をつくる』ためにすること」、と考えます。
この”自社にとって”というところが一番のキーポイントです。
それが実現できる人材育成(と組織開発)なるためには、次の3つの視点から考えることが大切です。
1つめは、企業理念、経営ビジョンの視点
2つめは、いい仕事とマネジメントの基準の視点
3つめは、組織の課題解決の視点 です。
1つめの「企業理念」は、会社によっては経営理念、社是・社訓として表現されています。
さらに「経営ビジョン」は、会社が目指す将来の姿又は長期的な目的・目標等具体的な姿のことです。
「企業理念」は抽象的な表現となっていることが多いのですが、社員が仕事の中で具体的な行動として活かして初めて意味のあるものになります。
それを実践できる社員として「目指す人材像」を明確化することが必要です。
そのために「行動指針」(又はクレド『信条』)として10〜15項目程度で社員が実行にすぐ移せる具体的な行動内容として作成することも効果的です。
2つめの「いい仕事とマネジメントの基準」づくりには、まず現状把握することから始めます。
現在やっている仕事内容、役割分担、仕事の進め方等の現状を文書や図示で客観的に見える形にして整理し、把握し、そこから共通の基準をつくります。
実は、これらは人事制度の「職能要件書」「職能等級基準」等のことであり、これらが実際行っている内容を十分に把握したものであれば、参考資料の一つです。
属人的、経験的な業務の進め方を組織的役割に修正し共有化することです。そのために自社のいい仕事の育成評価項目を明確にするのです。
その基準が「人事評価項目」に反映されて、単なる処遇のための評価ではなく、社員各人の能力向上、意欲向上につながる仕組みになっていることが、いい仕事ができる人材育成につながる大きなポイントです。
3つめの「組織の課題解決」とは、人材や人間関係、組織風土に関して今後解決したい課題を明確にして会社として解決に取り組むことです。
組織診断・サーベイを実施して検討することも有効な方法の一つです。
この視点では、中長期的視点と短期の視点の両面で人材・組織の課題解決に役立つ人材育成を作成する基本的な考え方を確立するためにも重要です。
具体的には、「中長期で会社の求める人材能力の確保」、「社員の定着の問題」、「業務分担の偏り」、「社員の意欲低下」、「ハラスメント」等の本質を把握した課題解決に取り組むことです。
キーワードは、
“目指す人材像”、”育成評価項目”、”組織の課題解決”
の3つです。
今後は、この3つの視点と3つのキーワードで、人材育成の取り組みをさらに具体的に考えていきます。
【最後にお知らせ】
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「リーダー必須の職場コミュニケーション61のスキル」(セルバ出版)、2018年4月に発売され、お陰様で一昨年1月末に増刷、昨年1月10日に第三刷、そして今年2月1日で第四刷となりました。全国大手書店、アマゾン他のネット書店で販売しております。
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2020年09月04日
『教える研修、教える職場から学ぶ研修、学ぶ職場へ:“OJL&OffJL”とは@』
今回のテーマは、『教える研修、教える職場から学ぶ研修、学ぶ職場へ』です。
キーワードは、“OJL&OffJL”。
人材育成の関心の高い経営者、幹部の皆さま、そして人事研修担当の方でしたら、ご存知の言葉に「OJTとOffJT」があります。
管理者研修や部下指導育成研修でも必ず出てくる言葉の一つです。
「OJTとOffJT」とは
OJTとは、「On the Job Training」の略で、
「職場内(仕事をする中)での研修、指導」のこと。
OffJTとは、「Off the Job Training」の略で、
「職場(仕事)を離れての研修、訓練」のこと。
OJTをもう少し詳しく説明すると
「職場で、業務を通じて、上司や先輩が部下・後輩に、部下本人の育成必要点を見出し、それに対する一切の指導・援助活動を、意図的・計画的・継続的に行うこと」
です。
職場内(会社、組織内)に既に蓄積された担当業務や専門能力(知識・スキル)を習得するためには、特にOJTが重視されます。
OJTが重視される理由は、「人は自ら経験することによって一番良く学ぶ」からだと言えます。
担当する業務の知識・スキルを身に付けるためには、実際の仕事の中で自分自身で繰り返しやってみることが必要なのです。
OJT、OffJTとも職場外か職場内かは違いますが、どちらも「Training:研修や訓練、指導すること」は同じ。
研修や訓練をするとなると指導者側が中心となります。
実際にOJT研修とは、職場内で指導する側、つまり管理監督者対象の研修となります。
しかし、実際の効果的なOJTは、仕事の教え方(説明や提示等)も大事ですが、特に未経験者への指導育成では、仕事の与え方、そしてその後の評価・フォロー等によって、本人が自ら主体的に学ぶこと、つまり「仕事の任せ方と学ばせ方」が大切になってくるのです。
そのために、指導育成者は一方的に教える人ではなく、学びの支援者になることが必要です。「学ぶ」の主語は「部下自身」なのですから。
「OJL&OffJL」とは
先に述べたOJTとOffJTのTは「Training:研修や訓練、指導すること」、これは指導育成側の視点です。
しかし、部下を中心にみるとこれからは、OJTというよりもOJL(On the Job Learning)「職場内(仕事をする中)で自らが学び成長する事」が求められてきます。
仕事を通して、いかにして部下自身が(自分が)学び・成長するかと言う意識で、仕事から、上司・先輩から学ぶかという「学び方」を身に付けることが基本となります。
もちろん、全く上司・先輩が「Training:研修や訓練(教える指導)」をしないと言うことではなく、それと同時並行して、又は先んじて「学び方を支援する」ことを重視したアプロ―チをとることです。
OJT(上司・リーダーの指導教示による脳力向上)からOJL(部下本人、メンバー各自が自ら仕事を通して学び成長する)へ変えていくためには、
第一に本人(社員各人)へのアプローチ、
第二に、学び支援をする管理監督者(上司・リーダー)へのアプローチ、
そして第三に職場、組織風土へのアプローチ(主体的に仕事に取組み、仕事から学ぶという価値観の共有化)
以上3つへのアプローチが必要となります。
これについては、次回考えていきます。
それと同様に、集合研修もOffJTからOffJL(Off the Job Learning)、つまり「職場(仕事)を離れた機会で参加者が学ぶ場」にすることが大切です。
私自身も企画し、実施する研修(集合研修、最近はオンライン研修も)では、いかにして「OffJT」から「OffJL」の場にするかを志向し、思考し、試行しています。
主役は、研修参加者(あえて受講者と言いません)です。
研修参加者が主役になるために具体的にどのようにしているかは、次回以降に(次々回か)。
キーワードは、“OJL&OffJL”。
人材育成の関心の高い経営者、幹部の皆さま、そして人事研修担当の方でしたら、ご存知の言葉に「OJTとOffJT」があります。
管理者研修や部下指導育成研修でも必ず出てくる言葉の一つです。
「OJTとOffJT」とは
OJTとは、「On the Job Training」の略で、
「職場内(仕事をする中)での研修、指導」のこと。
OffJTとは、「Off the Job Training」の略で、
「職場(仕事)を離れての研修、訓練」のこと。
OJTをもう少し詳しく説明すると
「職場で、業務を通じて、上司や先輩が部下・後輩に、部下本人の育成必要点を見出し、それに対する一切の指導・援助活動を、意図的・計画的・継続的に行うこと」
です。
職場内(会社、組織内)に既に蓄積された担当業務や専門能力(知識・スキル)を習得するためには、特にOJTが重視されます。
OJTが重視される理由は、「人は自ら経験することによって一番良く学ぶ」からだと言えます。
担当する業務の知識・スキルを身に付けるためには、実際の仕事の中で自分自身で繰り返しやってみることが必要なのです。
OJT、OffJTとも職場外か職場内かは違いますが、どちらも「Training:研修や訓練、指導すること」は同じ。
研修や訓練をするとなると指導者側が中心となります。
実際にOJT研修とは、職場内で指導する側、つまり管理監督者対象の研修となります。
しかし、実際の効果的なOJTは、仕事の教え方(説明や提示等)も大事ですが、特に未経験者への指導育成では、仕事の与え方、そしてその後の評価・フォロー等によって、本人が自ら主体的に学ぶこと、つまり「仕事の任せ方と学ばせ方」が大切になってくるのです。
そのために、指導育成者は一方的に教える人ではなく、学びの支援者になることが必要です。「学ぶ」の主語は「部下自身」なのですから。
「OJL&OffJL」とは
先に述べたOJTとOffJTのTは「Training:研修や訓練、指導すること」、これは指導育成側の視点です。
しかし、部下を中心にみるとこれからは、OJTというよりもOJL(On the Job Learning)「職場内(仕事をする中)で自らが学び成長する事」が求められてきます。
仕事を通して、いかにして部下自身が(自分が)学び・成長するかと言う意識で、仕事から、上司・先輩から学ぶかという「学び方」を身に付けることが基本となります。
もちろん、全く上司・先輩が「Training:研修や訓練(教える指導)」をしないと言うことではなく、それと同時並行して、又は先んじて「学び方を支援する」ことを重視したアプロ―チをとることです。
OJT(上司・リーダーの指導教示による脳力向上)からOJL(部下本人、メンバー各自が自ら仕事を通して学び成長する)へ変えていくためには、
第一に本人(社員各人)へのアプローチ、
第二に、学び支援をする管理監督者(上司・リーダー)へのアプローチ、
そして第三に職場、組織風土へのアプローチ(主体的に仕事に取組み、仕事から学ぶという価値観の共有化)
以上3つへのアプローチが必要となります。
これについては、次回考えていきます。
それと同様に、集合研修もOffJTからOffJL(Off the Job Learning)、つまり「職場(仕事)を離れた機会で参加者が学ぶ場」にすることが大切です。
私自身も企画し、実施する研修(集合研修、最近はオンライン研修も)では、いかにして「OffJT」から「OffJL」の場にするかを志向し、思考し、試行しています。
主役は、研修参加者(あえて受講者と言いません)です。
研修参加者が主役になるために具体的にどのようにしているかは、次回以降に(次々回か)。
2019年07月26日
部下を成長させるする「1on1」ミーティングとは
「1on1」とは、 上司(マネージャー)と部下(メンバー)で個人面談を行い、日々の業務での成果や失敗について話し合い、部下に気づきを促すことで個人の能力を引き出すことを目的としたミーティングです。
2012年から1on1を導入し、成功事例としてよく目にすることも多いヤフー株式会社をはじめ、現在では多くの企業が1on1を活用し始めています。
○1on1ミーティングの具体的な実施内容
◆目的:中長期的な部下の育成、上司と部下との安心できる関係づくり、経験学習の支援など(人事考課のフィードバック面談や業務の指導・改善ではありません)
◆テーマ:話の内容は、基本的に部下が話したい事中心にします。日頃の業務で感じていること、成功体験・失敗体験の振り返り、上司にサポートして貰いたいこと、職場での人間関係やコミュニケーションの問題、会社や経営についての疑問や意見、中長期的な業務の改善、プライベートの悩み、その他上司に知っておいてほしい事等です。
◆時間(頻度):毎週又は隔週、1カ月に1回。30分〜1時間など時間を決めて定期的に事前に予定を入れて、上司と部下が話合いをします。
◆上司に必要なスキル:カウンセリングやコーチングのスキル。具体的には傾聴、承認、質問、フィードバックのスキル
○展開方法
公式な人材育成制度として組織の仕組みとして展開する方法と部門や職場単位で管理者が育成手法として自主的に活用する方法の2つがあります。
○1on1ミーティング実施の効果(メリット)
➀部下の育成を促す
Aマネージャが現場の状況を把握できる
B業務の進捗状況についてタイミング良く働きかけること
ができる
C適材適所と業務の効率化などを実現できる
D定着率の向上やエンゲージメントを高める
弊社では、これまで「コーチング」や「部下との目標面談」の研修、また「相談力セミナー」等の上司と部下の面談・ミーティングを支援する研修を行っております。
その経験を基にして、今回紹介の「1on1ミーティング」や部下が上司と気軽にできる「相談タイム」等の仕組みづくりや上司、部下向けの研修やオリエンテーション(説明会)等のサポートも提供しております。
お気軽にご相談下さい。
お問い合せは、以下までご連絡下さい。
Eメール:info*interface-h.co.jp(*を@に替えて送信下さい)
電話:011−632−7815(五十嵐)
【お知らせ】
私(潟Cンタフェース代表 五十嵐仁)の著書
「リーダー必須の職場コミュニケーション61のスキル」(セルバ出版)昨年4月に発売されました。お陰様で今年の1月末に増刷され、引き続き、全国大手書店、アマゾン他のネット書店で販売しております。
本書の内容は、「1on1」ミーティングで上司に必要とされるスキルをほとんど網羅しています。
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2012年から1on1を導入し、成功事例としてよく目にすることも多いヤフー株式会社をはじめ、現在では多くの企業が1on1を活用し始めています。
○1on1ミーティングの具体的な実施内容
◆目的:中長期的な部下の育成、上司と部下との安心できる関係づくり、経験学習の支援など(人事考課のフィードバック面談や業務の指導・改善ではありません)
◆テーマ:話の内容は、基本的に部下が話したい事中心にします。日頃の業務で感じていること、成功体験・失敗体験の振り返り、上司にサポートして貰いたいこと、職場での人間関係やコミュニケーションの問題、会社や経営についての疑問や意見、中長期的な業務の改善、プライベートの悩み、その他上司に知っておいてほしい事等です。
◆時間(頻度):毎週又は隔週、1カ月に1回。30分〜1時間など時間を決めて定期的に事前に予定を入れて、上司と部下が話合いをします。
◆上司に必要なスキル:カウンセリングやコーチングのスキル。具体的には傾聴、承認、質問、フィードバックのスキル
○展開方法
公式な人材育成制度として組織の仕組みとして展開する方法と部門や職場単位で管理者が育成手法として自主的に活用する方法の2つがあります。
○1on1ミーティング実施の効果(メリット)
➀部下の育成を促す
Aマネージャが現場の状況を把握できる
B業務の進捗状況についてタイミング良く働きかけること
ができる
C適材適所と業務の効率化などを実現できる
D定着率の向上やエンゲージメントを高める
弊社では、これまで「コーチング」や「部下との目標面談」の研修、また「相談力セミナー」等の上司と部下の面談・ミーティングを支援する研修を行っております。
その経験を基にして、今回紹介の「1on1ミーティング」や部下が上司と気軽にできる「相談タイム」等の仕組みづくりや上司、部下向けの研修やオリエンテーション(説明会)等のサポートも提供しております。
お気軽にご相談下さい。
お問い合せは、以下までご連絡下さい。
Eメール:info*interface-h.co.jp(*を@に替えて送信下さい)
電話:011−632−7815(五十嵐)
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2019年05月08日
TLR(職場活性化サポートシステム)のご案内
「健全でよりよい仕事ができる職場づくり」をサポートするWebシステム「TLR(職場活性化サポートシステム)」〔以下TLRと略記します〕がダイヤモンド社からサービス提供を開始しました。
TLRは、職場を活き活きとした場にするために、職場のメンバーが自分たちで活動して、職場を活性化できるように支援するWebシステムです。
特徴は大きく3つあります。
1 職場のメンバーが自ら実践できる「診断型組織開発」
職場の状態を可視化することから改善活動に至るプロセス「診断型組織開発」を職場メンバーが推進できます。
2 組織開発研究第一人者の知見に基づくTLRモデル
TLRは南山大学人文学部心理人間学科教授 中村 和彦氏考案の職場の状態を可視化するための枠組み(TLRモデル)で、職場で起こっている様々なプロセスをTsk・Leadership・relationの3指標(TLR)について職場メンバーの回答から測定します。
3 活き活きとした職場づくりをサポートする4つの機能
様々なサポートをする以下の4つの機能を活用することで、経験の浅いマネージャーでも職場の改善活動の主体者として、無理なく職場の改善活動を実施できます。
@職場状況アンケート機能(診断)
A職場ミーティングの実践と記録機能
B改善活動のまとめ・報告機能
Cまとめの社内共有機能
その他のメリットとしては、
1.職場単位で活用できる簡便なWebシステム
PC、タブレット、スマホから受検(回答)できます。職場単位でのデータ(集計結果と実践記録)活用できます。
2.抜群にコストパフォーマンスが高いサービス
調査実施から様々なサポートシステムを、受検者一人当たり1,000円というシンプルで他の組織診断と比べて格安な費用で活用できます。
3.組織開発の各種プログラム、マネジメント研修とも連携できる
データ(集計結果)を活用したリーダーシップ研修や職場開発ワークショップの実施、その他の各種プログラム実施の効果測定にも活用できます。
TLR(Tsk・Leadership・relation)の3指標・7機能の49項目の設問に加えて、オリジナルの設問を20項目設定できます。
さらに把握したい社員の意識調査やESサーベイとしても活用できます。
ご興味・ご関心のある方は遠慮なく、お問合せ・ご相談下さい。
資料送付希望・問い合せは、以下までご連絡下さい。
Eメール:info*interface-h.co.jp(*を@に替えて送信下さい)
電話:011−632−7815(五十嵐)
TLRは、職場を活き活きとした場にするために、職場のメンバーが自分たちで活動して、職場を活性化できるように支援するWebシステムです。
特徴は大きく3つあります。
1 職場のメンバーが自ら実践できる「診断型組織開発」
職場の状態を可視化することから改善活動に至るプロセス「診断型組織開発」を職場メンバーが推進できます。
2 組織開発研究第一人者の知見に基づくTLRモデル
TLRは南山大学人文学部心理人間学科教授 中村 和彦氏考案の職場の状態を可視化するための枠組み(TLRモデル)で、職場で起こっている様々なプロセスをTsk・Leadership・relationの3指標(TLR)について職場メンバーの回答から測定します。
3 活き活きとした職場づくりをサポートする4つの機能
様々なサポートをする以下の4つの機能を活用することで、経験の浅いマネージャーでも職場の改善活動の主体者として、無理なく職場の改善活動を実施できます。
@職場状況アンケート機能(診断)
A職場ミーティングの実践と記録機能
B改善活動のまとめ・報告機能
Cまとめの社内共有機能
その他のメリットとしては、
1.職場単位で活用できる簡便なWebシステム
PC、タブレット、スマホから受検(回答)できます。職場単位でのデータ(集計結果と実践記録)活用できます。
2.抜群にコストパフォーマンスが高いサービス
調査実施から様々なサポートシステムを、受検者一人当たり1,000円というシンプルで他の組織診断と比べて格安な費用で活用できます。
3.組織開発の各種プログラム、マネジメント研修とも連携できる
データ(集計結果)を活用したリーダーシップ研修や職場開発ワークショップの実施、その他の各種プログラム実施の効果測定にも活用できます。
TLR(Tsk・Leadership・relation)の3指標・7機能の49項目の設問に加えて、オリジナルの設問を20項目設定できます。
さらに把握したい社員の意識調査やESサーベイとしても活用できます。
ご興味・ご関心のある方は遠慮なく、お問合せ・ご相談下さい。
資料送付希望・問い合せは、以下までご連絡下さい。
Eメール:info*interface-h.co.jp(*を@に替えて送信下さい)
電話:011−632−7815(五十嵐)
2007年09月08日
コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(3)
■第2回では、アクションラーニング(以下AL)における「ふり返り(リフレクション)」とALの効能(効果・メリット)について述べました。
第3回(本テーマ終了回)は、ALとコーチングの関係について述べます。
■本連載のテーマが『コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは』ですから、タイトルからして「コーチング」より「アクションラーニング」が進化しているとか、よりお勧めしているような印象をお持ちかもしれません。
しかし、私自身確かにコーチングを学んでから次にALを学んだので、次なるステップとはその意味が含まれていても、決してどっちが良いと言う話をしたいわけではありません。
同様のことは、ティーチングとコーチングについても、これからは「コーチング」が大切だというような主張もありました。しかし、どのような手法(アプローチ)も相手と目的その他の状況によるのであって絶対的にいつでも必ず効果がある手法などはないと思います。
■最近AL手法による問題解決研修やマネジメント研修を実施して(この7月〜9月初めの約2ヶ月間で、AL基礎講座も入れると7本がAL中心の研修)発見したことが3つあります。
●一つ目は「AL研修の方がコーチング研修以上に、受講者が質問の大事さを実感できている」と感じました。
ALではコーチング研修と比べると、傾聴のスキルや質問のスキルについてのトレーニングはほとんどしていません。しかし、研修終了後の感想で多くの人が「質問」して相手や部下の考えを引き出すことは重要だ、と非常に実感を持った言葉で語ります。そして研修の終わり頃に、研修のふり返りのための対話場面をつくると非常によく相手の話を傾聴し、質問してコーチング的な関係をつくることができていました。
●二つ目は「トレーナー(ALコーチ)が質問してふり返りをすることが多くて、教えることが少ないほど、受講者の気づき・学びが多い」ことに気づきました。
一つ目に感じたことにも近いのですが、職場の問題解決を考えながら7人のグループでALセッション(つまり7回)を2日間の研修でやった時に、あまり全体で教える(レクチャーする)時間などとれませんでした。勢い各セッション終了時のふり返りタイムが中心となります。
結果として、それが良かったということに気づきました。時間がないので余計な(トレーナー視点での思い込みの)ティーチングがなく、メンバー自身のふり返りとALコーチの質問でメンバーの中で気づきや学びが深められていることが効果的だということです。
●三つ目は、コーチングとALとの関係には、直接関連がないようなことですが「私自身が以前より、常に今の研修の受講者が優れている又は良い点が多いというようにメンバーを肯定的にみることができている」ことです。
受講メンバーが前向きで出来る人たちだと研修講師(トレーナー)が感じるとどのような良いことがあるかというと、そう思っていない場合比べると、これはかなりなものです。このメンバーは仕様もない人たちばかりだ、と心の内で思っている講師は言葉には出さなくても、表情や口調などの態度でその気持ちは伝わります。その逆に、何を言っても、それは良いですねと肯定的に認められる講師の言動により、メンバーが尊重されている研修という雰囲気ができます。
コーチングではクライアントの中に答がある、クライアントは常に最善である…など、クライアントを承認し、尊重することはコーチングの基本的な姿勢・あり方です。
ALでもALコーチはメンバーの学習の最大の支援者であり、規範においてはお互いの尊重、サポートをうたっています。
結論的に言うと、トレーナーであるALコーチ自身、つまり私がALセッションをその目的のために最大限に役割を務めることで、自分自身の変化(成長)があったということです。
■本稿でお伝えたしたい見解をいくつか述べます。
@ALはその参加したメンバーがお互いをコーチングしあえる信頼関係や協働関係をつくることに役立ちます。なぜなら「質問」の有用性を実感できるからです。
Aグループメンバーが提起した現実のある問題について、問題解決を意図して質問と答えと対話のコミュニケーションを繰り返す中で、「質問力」が磨かれていきます。
B1対1のコーチングでの気づきや学び以上に、複数人数のしかも相互に誰が誰に質問してもよい対話のセッションであるALを通しての気づき・学びがより豊なものになる可能性が大といえる。
Cコーチングでのコーチ役は先生ではないとは言え、何かあるレベル以上のものを持っている、尊敬とまでいかなくても模範やモデルになるような信頼感が暗黙に求められます(業績の悪い営業マンが良い営業マンをコーチングすることは実質不可能)。しかし、ALではお互い普通のメンバー同士が相互コーチングの機能を果たすことができます。
DALコーチは、メンバー同士がコーチングのコーチをできるような関係性のチームを作ることがその役割であること。つまり、お互いが質問と答えと言う対話セッションの中から学習することができる関係性の構築がALコーチの目指すことである。
現段階での私の結論は
(1)コーチングを職場で活用している会社で、ALを導入するとコーチングが加速的に活用され機能するようになる(かなりの確信度合いで)。
(2)ALを導入・活用した組織で、さらにリーダー、マネージャー役の人がコーチングスキルを学ぶと現実に役立つコーチングが行われる(可能性が非常に大きい)。
この2つの結論は、この4月から約半年の私の研修実践を通しての学びです。当初この原稿を書き始めたときには、明確ではなかったのですが、ここに来てかなり断言できる確信とまでなっています。
この9月後半以降、来年の3月までの6ヶ月と少しで、その実践例を作って、機会があればご報告していきたいと思っています。
3回にわたった「コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは」をここまでお読みいただき、ありがとうございました。
よろしければ、ご感想・ご質問をお寄せ下さい。
第3回(本テーマ終了回)は、ALとコーチングの関係について述べます。
■本連載のテーマが『コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは』ですから、タイトルからして「コーチング」より「アクションラーニング」が進化しているとか、よりお勧めしているような印象をお持ちかもしれません。
しかし、私自身確かにコーチングを学んでから次にALを学んだので、次なるステップとはその意味が含まれていても、決してどっちが良いと言う話をしたいわけではありません。
同様のことは、ティーチングとコーチングについても、これからは「コーチング」が大切だというような主張もありました。しかし、どのような手法(アプローチ)も相手と目的その他の状況によるのであって絶対的にいつでも必ず効果がある手法などはないと思います。
■最近AL手法による問題解決研修やマネジメント研修を実施して(この7月〜9月初めの約2ヶ月間で、AL基礎講座も入れると7本がAL中心の研修)発見したことが3つあります。
●一つ目は「AL研修の方がコーチング研修以上に、受講者が質問の大事さを実感できている」と感じました。
ALではコーチング研修と比べると、傾聴のスキルや質問のスキルについてのトレーニングはほとんどしていません。しかし、研修終了後の感想で多くの人が「質問」して相手や部下の考えを引き出すことは重要だ、と非常に実感を持った言葉で語ります。そして研修の終わり頃に、研修のふり返りのための対話場面をつくると非常によく相手の話を傾聴し、質問してコーチング的な関係をつくることができていました。
●二つ目は「トレーナー(ALコーチ)が質問してふり返りをすることが多くて、教えることが少ないほど、受講者の気づき・学びが多い」ことに気づきました。
一つ目に感じたことにも近いのですが、職場の問題解決を考えながら7人のグループでALセッション(つまり7回)を2日間の研修でやった時に、あまり全体で教える(レクチャーする)時間などとれませんでした。勢い各セッション終了時のふり返りタイムが中心となります。
結果として、それが良かったということに気づきました。時間がないので余計な(トレーナー視点での思い込みの)ティーチングがなく、メンバー自身のふり返りとALコーチの質問でメンバーの中で気づきや学びが深められていることが効果的だということです。
●三つ目は、コーチングとALとの関係には、直接関連がないようなことですが「私自身が以前より、常に今の研修の受講者が優れている又は良い点が多いというようにメンバーを肯定的にみることができている」ことです。
受講メンバーが前向きで出来る人たちだと研修講師(トレーナー)が感じるとどのような良いことがあるかというと、そう思っていない場合比べると、これはかなりなものです。このメンバーは仕様もない人たちばかりだ、と心の内で思っている講師は言葉には出さなくても、表情や口調などの態度でその気持ちは伝わります。その逆に、何を言っても、それは良いですねと肯定的に認められる講師の言動により、メンバーが尊重されている研修という雰囲気ができます。
コーチングではクライアントの中に答がある、クライアントは常に最善である…など、クライアントを承認し、尊重することはコーチングの基本的な姿勢・あり方です。
ALでもALコーチはメンバーの学習の最大の支援者であり、規範においてはお互いの尊重、サポートをうたっています。
結論的に言うと、トレーナーであるALコーチ自身、つまり私がALセッションをその目的のために最大限に役割を務めることで、自分自身の変化(成長)があったということです。
■本稿でお伝えたしたい見解をいくつか述べます。
@ALはその参加したメンバーがお互いをコーチングしあえる信頼関係や協働関係をつくることに役立ちます。なぜなら「質問」の有用性を実感できるからです。
Aグループメンバーが提起した現実のある問題について、問題解決を意図して質問と答えと対話のコミュニケーションを繰り返す中で、「質問力」が磨かれていきます。
B1対1のコーチングでの気づきや学び以上に、複数人数のしかも相互に誰が誰に質問してもよい対話のセッションであるALを通しての気づき・学びがより豊なものになる可能性が大といえる。
Cコーチングでのコーチ役は先生ではないとは言え、何かあるレベル以上のものを持っている、尊敬とまでいかなくても模範やモデルになるような信頼感が暗黙に求められます(業績の悪い営業マンが良い営業マンをコーチングすることは実質不可能)。しかし、ALではお互い普通のメンバー同士が相互コーチングの機能を果たすことができます。
DALコーチは、メンバー同士がコーチングのコーチをできるような関係性のチームを作ることがその役割であること。つまり、お互いが質問と答えと言う対話セッションの中から学習することができる関係性の構築がALコーチの目指すことである。
現段階での私の結論は
(1)コーチングを職場で活用している会社で、ALを導入するとコーチングが加速的に活用され機能するようになる(かなりの確信度合いで)。
(2)ALを導入・活用した組織で、さらにリーダー、マネージャー役の人がコーチングスキルを学ぶと現実に役立つコーチングが行われる(可能性が非常に大きい)。
この2つの結論は、この4月から約半年の私の研修実践を通しての学びです。当初この原稿を書き始めたときには、明確ではなかったのですが、ここに来てかなり断言できる確信とまでなっています。
この9月後半以降、来年の3月までの6ヶ月と少しで、その実践例を作って、機会があればご報告していきたいと思っています。
3回にわたった「コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは」をここまでお読みいただき、ありがとうございました。
よろしければ、ご感想・ご質問をお寄せ下さい。
2007年07月27日
コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(2)
2.コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(2)
■前回は「アクションラーニング」がどんなものであるか、コーチングやOJT、従来型の会議との違い、またアクションラーニングのセッション(ミーティング)での中心である「質問」の効用について述べました。
※第1回は→http://interfacenews.seesaa.net/article/44218456.html
この第2回は、さらに「ふり返り(リフレクション)」とアクションラーニングの効能(効果・メリット)について述べます。
■アクションラーニング(以下AL)では、第1回で述べたように「質問」から始めるミーティングを行います。もう一つ、質問で問題を明確にしたり、目標を設定したりする問題解決の進行の途中で時々「ふり返り(リフレクション)」をします。
●「ふり返り」とは、アクションラーニングコーチ(以下ALコーチ)が、ミーティングの途中で、「ちょっとここでふり返りをしましょう」と介入し、「今グループの雰囲気はどんな感じですか?」「質問は自由にできていますか?」などと、話し合っている問題解決の中身
ではなく、話合いの状況・プロセスを見直してみることです。
●「ふり返り」の効用は、@話が行き詰っている時に、一息入れて再開後は新たな進展を見せる、Aあまり質問していない人にも質問をするキッカケを与える、B片寄った話合いから、様々な視点で展開させる、C今何が目的(又は本質)なのか?など内容面についても見直しをさせる、D参加メンバーへ意識を向けてお互いの関係を深める、など
があります。
●「ふり返り」は日常の会議やミーティングではあまりやらないことでしょう。以前ならば会議の後の一杯(飲みにケーション)で、「いやあ、今日の会議は厳しかったなあ、確かに部長の言う事はそのとおりだ!」とか「しかし、あそこまで言うか!って感じですよね」
「○○君、元気がないようで気になったが、どうした?」とかやったかもしれません。これは一種の「ふり返り」といえます。この飲みにケーションで人間関係が出来てきたともいえます。昨今はそれも減っているようです。
●ALでの「ふり返り」の元の言葉「リフレクション」は、単にその場でミーティングの状況をふり返るということだけではなく、「内省」「省察」というように気になったことを深く考え直してみる、本質的な意味を問い直す、自分について深くふり返る、というような意味を
含めた言葉です。そこに新しい発見や創造を見出すこともあります。
■この「質問」と「ふり返り」を中心として、現実問題に取り組み、具体的な行動計画をALコーチのサポートの元で、学習(問題解決だけではなく、そのプロセスを通した学び、気づき)を意識したグループセッションを行うことで、ALには次のような効能があります。
●現実の問題解決に役立ち、成果を出します。
参加者が実際の業務で直面している問題の解決や経営の重要課題の解決に取り組みます。複雑でどのように解決していくがすぐ見えない問題こそALに適した問題です。
解答がない問題の本質的な解決を推進します。
●職場会議やミーティングに活用できます。
「質問合意ミーティング」という進め方で、実際に企業内で活用できます。また社内ALコーチを育成することで、ALセッションを展開することもできます。
●職場内のコミュニケーションが活発になります。
職場の課題についての共通認識や状況の理解が深まり、様々な情報や目的などの共有化が進みます。進むべき課題解決の方向性を明確にし、またそれに貢献する実感を持つことで円滑なコミュニケーション、何でもいえる雰囲気、職場チームの団結力を高めます。
●個人的な能力、リーダーシップが高まります。
ALミーティングでは「ふり返り」を行うことで、問題や自分自身、職場についてなどの様々な気づきや学びを促進します。特に物事を俯瞰する力や多角度的にモノを見る力が養われます。またALコーチの体験を積むことで「チームを育成する力」と言う新しいリーダーシップも養成されます。
他にもALの効能はあります。そもそもALをどのような目的で活用展開するかというプログラムの作成により、その会社や組織の固有の重要課題の解決を促進することができます。
※次回『コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(3)』に続く
■前回は「アクションラーニング」がどんなものであるか、コーチングやOJT、従来型の会議との違い、またアクションラーニングのセッション(ミーティング)での中心である「質問」の効用について述べました。
※第1回は→http://interfacenews.seesaa.net/article/44218456.html
この第2回は、さらに「ふり返り(リフレクション)」とアクションラーニングの効能(効果・メリット)について述べます。
■アクションラーニング(以下AL)では、第1回で述べたように「質問」から始めるミーティングを行います。もう一つ、質問で問題を明確にしたり、目標を設定したりする問題解決の進行の途中で時々「ふり返り(リフレクション)」をします。
●「ふり返り」とは、アクションラーニングコーチ(以下ALコーチ)が、ミーティングの途中で、「ちょっとここでふり返りをしましょう」と介入し、「今グループの雰囲気はどんな感じですか?」「質問は自由にできていますか?」などと、話し合っている問題解決の中身
ではなく、話合いの状況・プロセスを見直してみることです。
●「ふり返り」の効用は、@話が行き詰っている時に、一息入れて再開後は新たな進展を見せる、Aあまり質問していない人にも質問をするキッカケを与える、B片寄った話合いから、様々な視点で展開させる、C今何が目的(又は本質)なのか?など内容面についても見直しをさせる、D参加メンバーへ意識を向けてお互いの関係を深める、など
があります。
●「ふり返り」は日常の会議やミーティングではあまりやらないことでしょう。以前ならば会議の後の一杯(飲みにケーション)で、「いやあ、今日の会議は厳しかったなあ、確かに部長の言う事はそのとおりだ!」とか「しかし、あそこまで言うか!って感じですよね」
「○○君、元気がないようで気になったが、どうした?」とかやったかもしれません。これは一種の「ふり返り」といえます。この飲みにケーションで人間関係が出来てきたともいえます。昨今はそれも減っているようです。
●ALでの「ふり返り」の元の言葉「リフレクション」は、単にその場でミーティングの状況をふり返るということだけではなく、「内省」「省察」というように気になったことを深く考え直してみる、本質的な意味を問い直す、自分について深くふり返る、というような意味を
含めた言葉です。そこに新しい発見や創造を見出すこともあります。
■この「質問」と「ふり返り」を中心として、現実問題に取り組み、具体的な行動計画をALコーチのサポートの元で、学習(問題解決だけではなく、そのプロセスを通した学び、気づき)を意識したグループセッションを行うことで、ALには次のような効能があります。
●現実の問題解決に役立ち、成果を出します。
参加者が実際の業務で直面している問題の解決や経営の重要課題の解決に取り組みます。複雑でどのように解決していくがすぐ見えない問題こそALに適した問題です。
解答がない問題の本質的な解決を推進します。
●職場会議やミーティングに活用できます。
「質問合意ミーティング」という進め方で、実際に企業内で活用できます。また社内ALコーチを育成することで、ALセッションを展開することもできます。
●職場内のコミュニケーションが活発になります。
職場の課題についての共通認識や状況の理解が深まり、様々な情報や目的などの共有化が進みます。進むべき課題解決の方向性を明確にし、またそれに貢献する実感を持つことで円滑なコミュニケーション、何でもいえる雰囲気、職場チームの団結力を高めます。
●個人的な能力、リーダーシップが高まります。
ALミーティングでは「ふり返り」を行うことで、問題や自分自身、職場についてなどの様々な気づきや学びを促進します。特に物事を俯瞰する力や多角度的にモノを見る力が養われます。またALコーチの体験を積むことで「チームを育成する力」と言う新しいリーダーシップも養成されます。
他にもALの効能はあります。そもそもALをどのような目的で活用展開するかというプログラムの作成により、その会社や組織の固有の重要課題の解決を促進することができます。
※次回『コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(3)』に続く
ラベル:コーチング アクションラーニング
2007年06月08日
コーチングの次なるステップ、 研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(1)
■「コーチング」という言葉は既にご存知の方(また実践されている方)も多いかと存じます。コーチングは、主に傾聴や質問を使って1対1の対話を通して、相手(部下)の考えを引き出し、課題解決や目標達成、行動改善をサポートしメンバーを育成するリーダーのスキルです。(と簡潔にまとめさせていただきました)
■「アクションラーニング」とは『現実問題を4〜8名からなるチームで、質問中心のミーティングにより、本質的な問題を共有化し、解決のための行動計画をつくり、実施(行動)し、その結果を検証することで確実に問題を解決し、同時にふり返りを行うことにより個人及びチームの学習(能力開発)を推進するプロセス』です。このミーティングセッションと課題解決の全体プログラムをマネジメントしていく役割が「アクションラーニングコーチ」です。
(さらに詳細についてはNPO日本アクションラーニング協会)
■「アクションラーニング」は、コーチング・OJTなどの個別指導や会議、これまでの問題解決研修とは次のような違いがあります。
●個人が一人で悩む問題が
⇒○問題抱え込みから、チーム全体の問題として共有化される
●1対1の相談(コーチング)が
⇒○多様な視点で課題解決を促進するシナジー相談(文殊の知恵)に
●お通夜のような会議が
⇒○全員の意見・アイデアが引き出される会議に
●自己主張ばかりの空中戦ミーティングが
⇒○限られた視点・部分ではなく全体最適思考と本質の追求が進むミーティングへ
●自己の立場に固執した主張し合いが
⇒○傾聴・共感により共通認識ができる話合いへ
(他の手法との違いはこちらもご参照))
■アクションラーニング(AL)のプロセス(ミーティング)の具体的な内容をここで述べます。ALのプロセスにおけるコミュニケーションは「質問」中心です。言い換えると質問から始めることです。質問には次のような効用があります。
●多様な質問することで、問題が明確になります。(参加メンバーがいろいろな視点で質問をすると、問題の姿が見えてきます)
●質問に答えるやり取りは「傾聴」の姿勢をつくります。(一方的な説明は時に聞く気をなくすが、自分の質問への回答には関心を引きます。また他者の面白い質問とその回答にも耳を傾けます)
●質問で、少しずつ実態や本質が見えてくると関心・共感を呼び起こし、グループの団結が高まります。
●質問をする内に、質問をした人、された人、聞いていた人、それぞれにふり返りが起こり、気づきが生まれやすくなります。
●素直な質問や新鮮な質問(素人質問)は、ブレークスルー(枠を打ち破った考え方、解決)を引き起こします。
「質問」の効用はまだまだあります。
※次回『コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(2)』に続く
■「アクションラーニング」とは『現実問題を4〜8名からなるチームで、質問中心のミーティングにより、本質的な問題を共有化し、解決のための行動計画をつくり、実施(行動)し、その結果を検証することで確実に問題を解決し、同時にふり返りを行うことにより個人及びチームの学習(能力開発)を推進するプロセス』です。このミーティングセッションと課題解決の全体プログラムをマネジメントしていく役割が「アクションラーニングコーチ」です。
(さらに詳細についてはNPO日本アクションラーニング協会)
■「アクションラーニング」は、コーチング・OJTなどの個別指導や会議、これまでの問題解決研修とは次のような違いがあります。
●個人が一人で悩む問題が
⇒○問題抱え込みから、チーム全体の問題として共有化される
●1対1の相談(コーチング)が
⇒○多様な視点で課題解決を促進するシナジー相談(文殊の知恵)に
●お通夜のような会議が
⇒○全員の意見・アイデアが引き出される会議に
●自己主張ばかりの空中戦ミーティングが
⇒○限られた視点・部分ではなく全体最適思考と本質の追求が進むミーティングへ
●自己の立場に固執した主張し合いが
⇒○傾聴・共感により共通認識ができる話合いへ
(他の手法との違いはこちらもご参照))
■アクションラーニング(AL)のプロセス(ミーティング)の具体的な内容をここで述べます。ALのプロセスにおけるコミュニケーションは「質問」中心です。言い換えると質問から始めることです。質問には次のような効用があります。
●多様な質問することで、問題が明確になります。(参加メンバーがいろいろな視点で質問をすると、問題の姿が見えてきます)
●質問に答えるやり取りは「傾聴」の姿勢をつくります。(一方的な説明は時に聞く気をなくすが、自分の質問への回答には関心を引きます。また他者の面白い質問とその回答にも耳を傾けます)
●質問で、少しずつ実態や本質が見えてくると関心・共感を呼び起こし、グループの団結が高まります。
●質問をする内に、質問をした人、された人、聞いていた人、それぞれにふり返りが起こり、気づきが生まれやすくなります。
●素直な質問や新鮮な質問(素人質問)は、ブレークスルー(枠を打ち破った考え方、解決)を引き起こします。
「質問」の効用はまだまだあります。
※次回『コーチングの次なるステップ、研修と実践を結ぶ「アクションラーニング」とは(2)』に続く